2014年03月10日

パキシルCRの離脱症状について

これまで、向精神薬(抗うつ剤、ベンゾ系等)には、本当は離脱症状などほとんどなくて、インターネット上で離脱症状を訴えている人は、てっきり女性や高齢者など薬物に対する忍容性が低い人が大多数だと思っていた。その理由は、何人かの知人は向精神薬を止めても、離脱症状など全くなかったからである。しかし最近、会社の同僚で休職中の人から、「パキシルCRの離脱症状で苦しんでいる」という話を聞き、実際にあるものだということに驚いている。その人の経緯は下記の通りである。

私の同僚の一人は、会社のオーバーワークと人間関係のトラブルで適応障害を発症し、現在までに4か月近く会社を休職している。その間、近くのクリニックにかかり、治療当初からパキシルCRを中心とした薬物療法を開始した。主訴は、抑うつ気分不安である。

【治療初期の処方】
・パキシルCR 12.5mg
・スルピリド錠サワイ 50mg

その後、パキシルCRの効きが思わしくなかったことから、12.5mg→25mg→50mgと最大量まで段階的に増量し、スルピリドは主治医判断で中止に至った。本人曰く、パキシルCRは、服用し始めた時には吐き気胃腸の違和感が2週間近くあったが、しばらくすると、吐き気だけが収まり、消化器系の不良(下痢か便秘かは不明)は今も残ったままだという。パキシルCRは、25mgでは不安感などが残り、あまり良くなかったが、50mgまで使ったところかなり症状が改善され、一時は寛解に至ったとのことである。消化器系の不良を訴えたところ、医師からIBS(過敏性腸症候群)の治療に使われるポリフルを処方され、効果はまずまずらしい。

【現在の処方】
・パキシルCR 50mg
・ポリフル 500mg

しかし、本人が向精神薬の断薬を焦り、主治医にパキシルCRの減薬を相談したため、一時は25mgに減らしたが、すると、抑うつ気分や不安などの症状が再燃した。そのため、主治医がすぐに50mgまで再増量を行なった。本人は、そのような経緯もあって、今後抗うつ剤の断薬ができなくなるのではないかとより一層の不安感を強めたようだ。

そして本人は、服用4か月目にして自己判断でのパキシルCRの断薬を決意。主治医への相談なしに、2週間の短期間の間に50mg→25mg→ゼロと無理な断薬を行なった。すると、抑うつ気分や不安などの元々の症状とは別に、離脱症状としてめまい、頭痛、吐き気が出現した。特にめまいがひどく、部屋の中で立っているのも辛い状態で、一人暮らしにもかかわらず、家事が何もできないという。本人は、断薬を焦りすぎたことに反省しているが、このままパキシルCRからの断薬を図りたいようだった。

彼がここまで離脱症状に苦しむのは、本当に意外だった。私は、彼が適応障害で休職に入ったというのは知っていたが、治療当初も薬は何とか飲めていると聞いていたから、てっきり順調に治療が進んでいるものと思い込んでいた。それに、彼は身長180cm以上、体重も80kg近くあり、お酒も飲めるのを知っている。とても薬に弱いタイプだとは思えなかったのである。

私は、「向精神薬の断薬を焦るのは、失敗の元だ。」とアドバイスした。もし私なら、パキシル50mgで安定した状態を保ちながら、職場復帰を目指したところだろう。本人も、主治医から、「服薬を続けながらの職場復帰は珍しいことでも何でもなく、維持治療の一環として当然の方法だ。」と説明されたことがあり、それは理解しているという。そして、私はこうもアドバイスした。「パキシルCRの離脱症状が苦しいのなら、別の抗うつ剤に変更するというのはどうだろうか。私の知人には、ジェイゾロフトとリフレックスに関しては、離脱症状なしに止められた人がいる。」と。

彼は現在の時点で4か月間ほど休職しているため、単なる適応障害が理由なら、そろそろ何らかの形(職場復帰あるいは転職)で社会復帰を果たしたいと思っているようである。しかし、思いのほかパキシルCRの離脱症状が苦しいのと、仮にパキシルCRの断薬に成功しても、元の抑うつ気分、不安などの症状は完全には治癒していないため、無理な社会復帰をしたところで失敗する可能性が高い。今後、自分でどのような治療方針を立てていくか悩んでいる。

私は、今の彼に関しては、次の二択しかないと思う。

1.パキシルCR 50mgで安定した状態を保ちつつ、より長い期間での減薬計画を立てる。
2.別の抗うつ剤(例えば忍容性の高いジェイゾロフトなど)に変更し、様子を見る。

何にせよ、彼には、「心の病の治療を焦るのは、失敗の元だ」とクギを刺しておいた。私自身に関して言えば、半年近くも向精神薬の服用を続けているが、特に大きな副作用もなく、何とか職場復帰もできているので、そうした事例を参考にしてもらいたいところである。私自身は、「今後1〜2年近くかけて減薬していけばよいと思っている。」と彼に伝えた。

パキシル錠、パキシルCR錠は副作用や離脱症状がきついとは聞いていたが、まさか本当にあることとは、とても驚いている。彼には悪いが、貴重な情報源である。

(参考) 離脱症状は数ヶ月つづく


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posted by 良源 at 00:00| 薬物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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