2015年09月18日

光トポグラフィーの利用について

最近、下記のような光トポグラフィー検査の広告をよく見る。光トポグラフィーとは、赤外線を用いて脳の状態を測定する技術のことである。

【光トポグラフィー検査の広告】
光トポグラフィー検査.jpg

これまでうつ病の診断は、臨床診断のみによって診断が下されてきた。従って、うつ病の診断は、患者のその時の状態や、精神科医の経験によってかなり判断が分かれるという課題があった。その欠点を、定量的に脳の状態を測定することにより、数値的に判断することで補うのが光トポグラフィーである。

元々、光トポグラフィーというのは2000年頃から臨床現場に応用されるようになったが、その後数年経ち、てんかんなど特定の検査に対して保険適用が認められるようになった。また、厚生労働省の先進医療に認められるなど、現在ではかなり広く認知されるようになってきている。私のPCで「光トポグラフィー」と検索すると、真っ先に出てくるのが「新宿メンタルクリニック」というごく普通のクリニックである。どうやら、現在では総合病院でなくてもこういった検査機器を導入しているところがあるらしい。

私は光トポグラフィーというのはよく知らなかったが、なぜこのような装置を利用するのかよく理解できなかった。というのも、多くの精神疾患は患者自身の訴えによってしか診断基準とするものがなく、定量的に判断するのが難しいのは自明の理である。だからこそ、医師によっても診断や治療に判断が分かれるし、それをあえて定量的に検査できるようにしたところで精度に欠けると考えていた。

しかし、インターネットで実際に光トポグラフィーを受けた方の感想を見てみると、それぞれの患者にはそれなりに納得のいく動機があることが理解できた。例えば、検査を受けた方の感想には次のようなものがある。

【光トポグラフィーを受けた動機】
<症例1>
医師がこちらの話にあまり耳を貸さず、ただ薬を出すだけで、症状は軽減しなかったので、「自分は本当にうつ病なのか?」客観的に分かる光トポグラフィー検査を受けました。
<症例2>
うつ病から復職した今でも薬は飲み続けており、回復に向かっているのかそうでないのかの確認も兼ねて、光トポグラフィー検査を受けてみようと思いました。
<症例3>
医師がただ薬を出すだけで自分の状態がどうなっているのか分からず「いつ、うつ病が治るんだろう」「本当にうつ病なのかな? 双極性障害じゃないのかな?」とずっと悩んでいました。

これを読むとわかるように、光トポグラフィーを受ける患者の多くは、自分自身が本当にうつ病なのか自信がなかったり、治療の効果に疑問を抱いているということがわかる。そのような場合に、光トポグラフィーを医師の診断を合わせた補助的な診断ツールとして用いるのは有益なことだと思われる。

現段階では、光トポグラフィーはまだ研究段階であり、臨床診断との一致率もそれほど高くないようだ。つまり、光トポグラフィーは単体では結果を判断することが難しく、精神科医による臨床診断と合わせて用いる必要があるらしい。

今後、光トポグラフィーはうつ病双極性障害などの気分障害だけでなく、行動障害であるADHDへの応用も期待されているという。将来的には、こうした精神疾患への診断ツールが大きく発展を遂げ、治療に際し誰もが気軽に利用できるようになることを期待したい。

(Wikipedia) 光トポグラフィー
(参考) 新宿メンタルクリニック


応援よろしくお願いします。




タグ:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| 医療機関・制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月04日

他院では治らない、うつの治療

先日、Googleで検索をしていたら、「他院では治らない、うつの治療」という精神科クリニックの広告を見かけた。この広告を見て、「他のところでは治らなくても、うちでは治せるってか、それは凄いねぇ」と思った。

他院では治らない、うつの治療.jpg

通常、Google AdWordsの広告テキストはこのようにユーザを惹きつける文字を意図的に選ぶことが多い。しかし私は、このように精神科クリニックがまるで他院を格下であるかのように露骨に扱うことには違和感を覚えた。もしこれが、「他にはない美白洗顔料」というような広告テキストだったら特に何も思わないだろう。なぜなら企業は競合他社を出し抜く必要があるからである。しかし、クリニック同士が互いに優劣を競い合うのはいかがなものだろうか。(確かに優劣はあると思うけど。)

この広告は、大阪府高槻市にあるなかおクリニックというクリニックが出している広告のようだ。クリニックのホームページを見たところ、院長が一人で診察をしている小さなクリニックのようである。クリニックの紹介ページを見ると、次のように書いてある。

------------------------------
当院は、他院では治らないうつの治療に特に力を入れてまいりました。多大な独自の治療法で、大きな成果をあげてきたと自負しております。
------------------------------

これを読むと何だか、自信たっぷりなところが伺える。このクリニックが大きな成果を上げてきたどうかは知らないが、「自負している」といことだけはわかった。また、うつ病に関しては、次のような文言が見られた。

------------------------------
治療開始と同時に休職した場合は、極めて慎重な判断が必要ということです。(中略) このような誤診で、休職と復職を繰り返していた方を、実に多く私は治療してきました。
------------------------------

この文章では、単に自信過剰なだけでなく、他院での治療を「誤診」と決めつけるなど、いささか早急な点が見られる。また、主語が「当院」ではなく「私」となっているところを見ると、クリニック全体としての治療よりも、院長個人の成果としての治療が前面に出されており、少々押しつけがましいようにも思える。

このなかおクリニックというクリニックは、中尾純治という人物が院長を担っているようだ。この精神科医は、「ある精神科医のうたた寝日記」というブログを運営しているようである。私はそちらも見てみることにした。

すると、驚くことに、私が見た時点一番最初に上がってきた記事は、「認知療法、漢方は効かない。まやかしである。」というタイトルだったのである。精神科医だというのに、なんとストレートな物の言い方をするのだろうか。(それは私も同じだが。)

この記事では、世界的に認められている認知療法漢方医学を真っ向から否定するだけでなく、他の精神科医や厚労省を徹底的に批判している。それが次の文章である。

------------------------------
認知療法の日本の第一者の大野裕氏は、雅子様の主治医を長く勤めたが結局、治せなかった。私に言わせれば、雅子様ぐらい速やかに直せねば、精神科医失格で研修医からやり直せと言いたい。
(中略)
世の精神科医(もちろん教授連中が一番、馬鹿だ)や認知療法に厚く診療報酬の配分をしている厚生省の諮問機関(精神科学会の重鎮)や役人はまったくのアホだ。
------------------------------

彼は自分の持論を展開するだけでは収まらず、自らが認めない人間を「馬鹿」とか「アホ」とか「研修医からやり直せ」という非常に汚い言葉で罵っている。これはさすがに人間性が低いと言わざるを得ない。そもそも、この中尾純治という医師は、自分の顔も名前も公開しているのに、このように低能な面を公然と見せて恥ずかしくないのだろうか。

別に私は、基本的に誰が何を言っても構わない。しかし、精神科医という職業上、感情を露わにしない意見表明の仕方が必要だと思うのである。このような記事を見てしまえば、少なくとも私はこのクリニックへ行こうとは思わないし、他の人も同じように感じるだろう。今回は、精神科医の精神レベルが高くないというのがわかる経験であった。

(参考)
なかおクリニック
認知療法、漢方は効かない。まやかしである。


応援よろしくお願いします。




タグ:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| 医療機関・制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月28日

もう薬は止めました

と、自分の主治医に言ってみた。

※この記事は2014年12月頃に書いたものである。

実際、薬は全て止めたのである。そしたら大して驚きもせず、「え、そうなんですか。」と言って、それから理由を聞かれて、2〜3分でその会話は終了してしまった。

私の主治医はとても淡白な性格であることはわかっていたので、こちらも予想していた反応だったが、やはり喜びもせず、心配もしてくれないとなると少々がっかりする。以前、記事「悪魔に魂を売り渡してでも欲しいもの」で書いた診察の時もそうであった。やはり、他人は他人であって、家族とは違うんだなと改めて感じた。

私は、たぶん自分の主治医はとてもマニュアル的な人なんだと思う。私にとって、今の主治医は自分の要望を通してくれる医師という意味でこの上なく都合がいいが、何となく熱意が足りないというか、何のために仕事をしているのか読み取りにくい部分がある。kyupin先生のように好奇心旺盛なわけでもなく、薬物や臨床医学について極めて高度な理解を示しているわけでもなく、お金儲け主義でもなさそうである。一体この人は何のために精神科医をしているのだろうか。

そうそう、このタイトルの件だが、私は本当に向精神薬をきっぱり止めたのである。最初の1〜2週間は一日おきに薬を服用していたのだが、その直後から急に仕事が忙しくなり、自分がいつ薬を飲んだのか覚えていられなくなってきた。そして、仕事が山場を越えて気が付いたら、薬は完全に手放していた。離脱症状は、めまいがしたり、発汗したりといった謎の身体症状が2週間程度続いた。また、ベンゾジアゼピンを止めたせいだと思うが、極度の不眠にも陥った。しかし、現在断薬から1か月近く経っているが、離脱症状は完全に収まり、普通に眠れるようにもなっている。

ちょっと書き留めておくと、この一か月くらい本当に忙しかったのだ。作業量が膨大にあり、体制を増強しようにも、作業内容が複雑でそう簡単に支援を得ることができなかった。睡眠時間を削って毎日終電近くまで仕事をし、残業時間は100hを軽く突破した。土日も2週間連続で消えてしまった。体力的に限界がきていたので倒れるかと思ったが、意外にも体調は崩さなかった。

私はその期間ずっと会社でイライラしており、作業の遅い同僚に対してキレそうになったことも何度かあった。その同僚が金曜の夜になって、「土日は用事があるので出れません。」などと言うものだから、「無責任な奴め。帰りたい奴はさっさと帰れ!」と言いたかったが、私は顔にも出さず我慢した。私はとても思いやりがある社員だと思うよ。

さて、今は仕事も少し楽になったし、服用中だったサインバルタリボトリールはきっぱり止めたので、もう精神科に通院する必要もない。念のため、あと数回は通院するつもりではあるが、たぶん問題なく診察終了となるだろう。

一旦診察が終了したら当面の間はクリニックに行かなくなると思う。お別れになる前に「なぜ精神科医になったんですか?」と聞くつもりだ。いやそれよりはむしろ、「なぜ精神科の医局を選んだんですか?」の方がいい気がしている。その方が相手から具体的な答えを得られる可能性が高い。まぁ今のところの予想では、適当にはぐらかされるだろう。

(参考)
悪魔に魂を売り渡してでも欲しいもの
なぜ精神科医になったんですか?


応援よろしくお願いします。




タグ:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| 医療機関・制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。