2015年10月06日

言葉の意味の理解の仕方

なぜこんな話になったか忘れたが、先日友人と話していたところ、「『高級品』という言葉の対義語は何か?」という会話になった。読者の方には少し考えてみてほしいと思う。あなたは「高級品」という言葉の対義語をすぐ思いつくだろうか。

すぐに思いつくのは「低級品」「低俗品」などの“高さが低い”という意味を成す言葉である。しかし、おそらくこの言葉は日常会話ではあまり使われないだろう。私たちは、この会話が面白かったので、次のようにいくつかの候補を出してみた。

【「高級品」の対義語となり得る言葉】
低級品、低俗品、粗悪品、普及品、一般品、低価格品…

まず、少なくとも「高級」という言葉の対義語は明らかに「低級」である。しかし、「高級品」という言葉の対義語は、「低級品」にはならない。なぜなら、お店の従業員は、価格の安い商品を「こちらは低級品です。」とは案内できないからである。もし、お店の従業員がそのようにお客様に案内すれば、「この品を買う人は下等だ」という意味を暗に伝えることとなる。

私たちは最終的に、「高級品」という言葉の対義語は日本語には存在しないという結論に至った。欲を言えば、高級品という言葉は“価値がある”、“価格が高い”ということを意味するので、「廉価品」「大量生産品」が対義語としては適当だと思う。また、文脈的には「高級品」という言葉は、品質が高いことを意味する場合もあるので、場合によっては「粗悪品」や単に「安物」という方が対義語として適当かもしれない。

言葉というのは不思議なもので、誰かが意図的に作ったにも関わらず、類義語や対義語といったバランスが正しく取れていないのである。

ところで、つい最近見たTV番組の中で、「『貯金』と『預金』の違いは?」という質問を見かけた。その番組によると、貯金はお金をゆうちょ銀行(郵便局)に預けることで、預金はその他の金融機関に預けることだという。それは確かに正しい。しかし、もしそんなことを自慢げに説明する国語の教師がいたら、私はそれもどうかと思う。

より正確に「貯金」「預金」の違いを説明すると次のようになる。貯金は、ゆうちょ銀行やその他のあらゆる金融機関を含め、お金を“貯蓄する”ことを意味する。ここで「貯蓄」という単語に同じ「貯」という漢字が使われているのは偶然ではない。また、預金は、お金を金融機関に預ける時の“行動”そのものを意味する。「預金」「払戻」の単語がしばしばセットで使われるのはそのためである。

このように私は、言葉は定義を知ることも大切だが、実際に使用されている場面や、その言葉に含まれるニュアンスも考慮して包括的に使い分けることが重要だと思う。言葉の定義を知るのは簡単だが、意味を理解するのは容易ではないのである。

(参考)
文章中の単語・表現・記号について
文章のリズムと単語選び


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2015年09月30日

Not Taking Risks is a Risk

最近、ログミーでTEDのまとめを見ていたところ、「Not taking risks is a risk」という文字が目に留まった。これは、社会起業家の小林りんさんが述べた言葉である。(参考)

「Not taking risks is a risk」は、「リスクを取らないことがリスクになる」という意味である。TEDの動画の中で、小林りんさんは、「次世代の子どもたちにとって、リスクの取り方や困難な状況を乗り越える方法を学ぶことが必要不可欠である。」と述べている。

小林りんさんは、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)の代表理事を務める教育者である。彼女の経歴がWikipediaに載っているが、これが非常に華々しい。彼女は東京大学を卒業後、スタンフォード大学にて修士号を取得し、モルガン・スタンレーの日本法人やユニセフに勤務した経験を持っている。つまり、彼女は自分の行動を通して道を切り開いていくタイプのエリートである。

私は、彼女の「Not taking risks is a risk」という言葉は、彼女自身の経験から出てきたものだろうと思う。失敗を恐れず、リスクと取っていけば、リターンは大きいというものだ。しかし、私のように普通のサラリーマンから見れば、本当にこの考えが正しいかどうかは疑わしい。

まず、私が思うに、ここでは“リスク”という言葉があまり明確でない。リスクとは、「あることをすると、危険に遭う可能性や損をする可能性があること」を示すものであるが、これは個々人にとって意味が全く異なってくると思う。

例えば、私にとってリスクと言えば、「会社を辞めて起業する」とか「海外に単身留学して職を探す」ということがそれに当たるだろう。もちろん、現在の慣れた職場を辞め、単に転職するということも小さなリスクになる。しかし、私にとってそのリスクを取るに値するリターンがあるかどうかはわからない。

ちなみに、私はこれまでの人生で今まで大きなリスクを取ったことはない。大学を卒業して普通に就職し、安定した職に就いている。結婚もしていないし、家やマンションも買ったことがない。しかし、この普通のリスクを取らない生活が、“リスクになる”というのが小林りんさんの主張のようだ。端的に言えば、私はその考えには反対である。

私は、この世界にはいろいろな人がいて良いと思う。小林りんさんのように、次々とやりたいことを見つけて所属を変えていくのも良いし、私のように一度自分の居場所を見つけたら、そこにできるだけ長く居続けようとするのも良い。少なくとも、その経歴だけを見て、「リスクを取っていない」と言われるとすれば、それは非常に不快である。

私はリスクを取っていないが、これまでに常に最善の選択をしてきたつもりである。それは私が単に失敗を恐れているからではなく、“取り返しのつかない失敗をしたくない”からである。私は、できれば同じ会社の上司たちのように、今の会社を定年まで勤め上げる人生を送りたいと思っている。

「Not taking risks is a risk」という言葉は、非常に聞こえはいいが、何か選択を迫られた時、常にリスクを取るのが正しいわけではないと思う。

(YouTube)
Creating Tomorrow's Leaders Today: Lin Kobayashi at TEDxKyoto 2013
(Wikipedia)
小林りん
(参考)
「悲観は気分、楽観は意志」 学校をつくるために"寄付金15億円"を集めた教育者が語る、未来の切り拓き方 - ログミー
小林りん(Lin Kobayashi) ホームページ


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2015年08月21日

夏が来れば思い出す

これを書いている今は8月中旬である。世間はお盆休みで、多くの忙しい社会人が年に数回しかない連休を楽しんでいる。タイトルの「夏が来れば思い出す」で始まるのは、詩人の江間章子が作詞を行なった童謡「夏の思い出」だが、私が夏が来て思い出すのは2年前のうつ病の休職の経験である。

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夏が来れば 思い出す
はるかな尾瀬 とおい空
きりの中に 浮びくる
やさしい影 野の小路
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上の一節は、「夏の思い出」の歌詞の一部である。江間章子が生まれ育った岩手県では、夏にミズバショウが咲く綺麗な尾瀬だったという。彼女はその時の気持ちを「夢心地」と後に表現している。彼女が大人になり、その時の感動を詩にしたのが「夏の思い出」である。

私はと言えば、夏が来て思い出すのは2年前のうつ病の休職の経験である。私は2年前、2013年6月から2か月強の期間を休職した。思い出すのは、世間はお盆休みだというのに、私はうつ病の治療と転職活動で忙しかったということである。私も仕事は休職していたので、お盆休みだということには変わらなかったが、不安と隣り合わせの時期だというのが皆との大きな違いだった。

他に夏が来て思い出すものが何もないのかというと、そんなことはない。例えば、小学生の頃の地元の花火大会が夏休みの終わりの合図だったことや、友人と一緒に近くの小川にザリガニと取りに行ったことは忘れられない思い出である。しかし、そういった思い出はつい数年前の厳しかった時期に比べれば儚いものである。誰しも幸せだった子ども時代に戻ることはできない。

だだ、記憶というのは誰でも後でそれを良いものに変えることが可能だと思う。生死を左右するような恐ろしい記憶は別として、ある程度の辛かった経験は、後で良い思い出に変えることができる。

私は、2年前のうつ病の経験を忘れたいとは思わない。あれは必要な経験だった。確かに思い出す度に嫌な思いはするが、私にとっては成長の過程で通る一コマだったと思う。私にとって、小学生の頃の夏休みの思い出も、2年前のうつ病の休職経験も、“両者は全く異なるものであった”というだけで、それ以上にどうこう言うべきものではないのである。

(Wikipedia)
夏の思い出
江間章子
(参考)
童謡・唱歌 夏の思い出 歌詞


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