2015年08月03日

SEって独立とかできるからいいよね

先日、友人と話していたところ、「システムエンジニアって独立とかできるからいいよね。」と言われた。彼はシステムエンジニアとは全く関係のない職業に就いている。

この時、彼がこんなことを言ったのは、別に大きな意味はなかったと思う。彼は単にシステムエンジニアは潰しが効く職業だということを強調したかったようだ。しかし、実際のところ、私の周りで将来独立が視野に入っている人は一人もいない。システムエンジニアで独立するような人というのは、よほど向上心が強い人か、会社員生活に満足できなかった人のどちらかである。また、会社員に戻れずに仕方なく個人事業主としてやっている人もいる。

私に言わせれば、今の時代好き好んで独立しようとする人なんてほとんどいない。あるいは、「システムエンジニアが独立できる」というのなら、保険営業料理人だって独立することは可能だ。おそらく、世の中に独立できない職業などない。確かに、システムエンジニアは初期投資が要らないので独立することは容易かもしれないが、独立したからと言って簡単に稼げるとは限らない。

ちなみに、私の周囲で将来独立が視野に入っている人がいないのは、私の会社が恵まれていることも影響している。私の会社では、40代前後の社員は平社員でも600〜700万円程度の年収を得ている。そうすると、「収入に満足している」「このままでもスキルアップできる」「リスクを冒したくない」などの理由で、独立が視野に入ってこない人がほとんどである。それでも独立しようと考える人は、よほど虚栄心が強い人だろう。しかし、もっと他の小さなソフトウェアハウスで働く人は、労働環境の悪さから独立したいという思いに駆られるのかもしれない。

また、私たちが簡単に独立しようとしないのは、独立しても楽に稼げるようにならないことを知っているからである。例えば、こんな事例がある。

私の知っている50代の社長は、若い時にフリーのエンジニアに転身した後、会社を設立し、今では5人ほどの小さなソフトウェアハウスを運営している。彼は今、私の会社が受注した大型プロジェクトに会社ごと組み込まれ、深夜までハードに働いている。たぶん、責任者である私の会社の課長の元、システムの一部の機能開発を会社単位で任され、納期に追われて仕事をしているのだろう。知人によると、彼は若い頃こんなことを言っていたのだという。

「俺はいつまでも派遣技術者として使われる人間になるのは嫌だ。そのうち独立して人を使う側になってやる。」

現在の彼の現状を見ていると、確かに社長にはなっているが、状況は何も改善されているように思えない。私の会社の課長職の人間に指示され、私の会社のプロジェクトルームに常駐し、毎日厳しいスケジュールと隣り合わせで働いている。彼は社長として部下は持っているが、全く社長らしい振る舞いはできず、ただ単に責任が重くなっただけである。

つまり、このIT業界では、小さな会社というのは全く会社らしい扱いをされていないのが現状である。ご存知の通り、IT業界は大きなピラミッド構成で、上に行くほど利益を得られる仕組みになっている。そんな中で小さな会社を設立しても、ただ単に名刺に「社長」と書いてあるだけでは全く意味がなく、一人の派遣技術者として大手企業に使われる存在に過ぎない。システムエンジニアが独立して社長らしく振る舞うには、努力して大きな組織に育て上げるしかないのである。

ついでに、少しスキル面について書いておくと、フリーのエンジニアになれば、多少の仕事を選べるようになるのも事実らしい。それが、独立して最もメリットになる面だろう。会社のシステムエンジニアとして働いていると、スキル向上は所属しているプロジェクトに大きく左右される。古いシステムの保守サービスデスクにばかり関わっていると、いつまで経っても新しい技術が身に付かない。そういう意味では、フリーのエンジニアは期間を区切って案件を選んでいけるので、長い目で見れば会社員よりも様々な経験を積むことが可能だ。

そういうわけで、私は今のところ独立する気は全くない。今の自分には独立してもやっていけるほどのスキルがないし、仮に独立しても、社長になって偉くなれるわけではないので、会社員でいる方が無難だと思う。何よりも、会社でうつ病になるような人間が、独立して重いプレッシャーに耐えられるわけがない。

一度会社を離れたら、再び戻るのは容易ではない。それは私のような大手企業ではより顕著である。現在の自分に感謝し、未来の選択肢を多く残しておくことが重要だと思う。

(参考)
所得格差が見えにくいわけ
真の独身貴族、趣味は車・プロ野球・競馬


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2015年07月18日

デートの割り勘に見る企業文化

先日、女性の友人と会話していたところ、こんな話になった。彼女は、別の友人の紹介により、IT企業で働く男性と2人でデートする機会があったという。

「この前、初めて会った男の人とデートする機会があったんだけど、その人食事代を奢ってくれなくて、割り勘にされたんだよね。何だか最悪。彼、主任だったんだって。たくさんお金持ってるはずなのに、私にそれだけの価値がないと思われたのかな?」

彼女はどうやら、デートで奢ってもらうことを期待していたようだ。そして、それが叶わなかったことでショックを受けていた。また、その男性が30代半ばでそこそこの企業に勤め、主任という役職に就いていたことも理由であったらしい。彼女は、その男性がかなりの給料をもらっていることを予測していたのである。

男性にとって、デートを割り勘にするかは難しい問題だと思う。割り勘にして当然と考える男性もいれば、奢ってもらって当然と考える女性もいる。誰だって無駄なお金は使いたくない。しかし、これは単なる金銭問題ではなく、お金を通して好意を示すかどうかの問題にもなってくる。お互いの価値観を共有することが大切なのである。

大手のIT企業で主任となれば、かなりの収入があるだろう。私はその会社の名前を聞いたが、確かに誰でも知っているコンピュータメーカーだった。私は自分の会社ではないので具体的な収入は知らないが、おそらく彼女とその男性の収入差は1.5倍くらいはあったはずである。彼女もそれをよく認識していた。ただ、私が思うに、これは彼の収入の問題ではなく、企業文化も関係してくるのではないかとも思った。

例えば、私の会社では、職場で飲み会を開催した際、女性陣を全員奢りにするということはない。多少の割引(例えば、3,000円ずつのところを女性は2,000円にする等)はあっても、無料にすることはないのである。しかし、もっと女性を大切にする会社、例えば商社や金融などでは、女性は職場の飲み会では全て奢りになることも多いという。(これは単に私が聞いただけの話であるが。)

私が働くようなIT企業では、職場に女性がほとんどいないことも多い。20〜30人で飲み会を開催して、女性は1〜2人というような感じである。そのような場合、女性を無料にするために男性全員でカンパするのは簡単である。しかし、それよりはむしろ、大多数が完全割り勘にしているのだから、女性にも同額を払ってもらおうとする。また、そもそも女性が職場にいないので、女性を優遇するという心理が働かない。だから全員平等になってしまうし、それが私たちの企業文化なのである。

私は、冒頭の男性が女性に奢らなかったのは、単にお金の問題ではなく、もちろん女性への好意の問題でもなく、どちらかというと企業文化のような気がしてならない。職場で女性を優遇するということがないので、デートの時も深く考えなかったのではないだろうか。こういうケースは多々ありそうなので、注意が必要である。いつも常識で考えていたことが、会社の外では常識でなかったというようなケースがある。

こう考えると女性の多い職場というのは非常に面倒だと感じる。学生の時からずっと男性ばかりの環境で生活してきた私にとって、女性への配慮というのは私が一番苦手とする分野の一つである。

(参考)
失恋と死について
女社会はなぜ陰湿なのか


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2015年05月25日

マッサージ師とシステムエンジニア

最近、私は友人の結婚式があり、久しぶりに何人かの高校時代の同級生と再会した。彼らは自分たちの仕事に対して、口々に、「仕事のできない同僚にストレスが溜まる」「保守的な上司に困っている」というような愚痴をこぼしていた。私はしばらく彼らの話を聞いていたのだが、私自身は特に能力の低い上司や同僚は思い当たらなかったので、逆に「同僚には優秀な人がたくさんいるが、彼らも非常に苦しんでいる」というような趣旨の内容を述べた。

その時、友人たちは、「ふーん」というような反応を示したのだが、彼らのその反応を見て、もしかしたら「優秀」という言葉の意味を正しく理解されていなのではと思うようになった。つまり、仕事ができない同僚の悪口を言っているような人は、「できればできるほどレベルの高い仕事を求められる」ということを理解していないように感じたのである。まるで、現状に満足してしまっているかのようだ。

私の経験では、こういったことは仕事の範囲が比較的限られている職場において起こり得ることだ。それは例えば、アルバイトのような職場である。私が学生時代にアルバイトをしている時、同じ職場のアルバイト従業員たちを見て、「なんて能力の低い連中なんだろう」とよく思っていた。でも、それは当たり前のことができない人々を見てそう思っていただけで、つまるところ、自分が質の高い仕事をしているわけではなかったのである。当然、正社員として就職すれば仕事ができる人ばかりになるので、アルバイトだった頃より苦労するようになる。

私が久々に会った友人たちは、まさにそのような感じだったのである。「もしかして君たち、自分の会社が仕事のできない人を集めてるだけじゃないのか?」と。(もちろん、他人の会社にどういう社員が集まっているかなんて知る由もないが。)

先日、マッサージ店の店長をやっている女性にこんな説教をされた。「仕事というのは、自分が社長になったつもりでやらないとダメ。自分のできることは全て、トイレの掃除から花瓶の水替えまで全部こなさないとダメなのよ。」と。余計なお世話である。

私に言わせれば、マッサージ師の仕事など肉体労働である。その一方で、私たちシステムエンジニアは技術を使う頭脳労働である。肉体労働と頭脳労働では、技術を手にした時のレバレッジが全く違う。マッサージ師の仕事にも技術はあるかもしれないが、彼らが使うのは「テクニック」(technique)で、レバレッジが大きくなるのは「テクノロジー」(technology)の方だ。私たちはテクノロジーを使う。テクノロジーを扱う以上、個人のスキルが大きな成果を生む。

それから、マッサージ師とシステムエンジニアでは、仕事の要求レベルが全く異なる。例えば、マッサージ師は店を綺麗に整え、お客にサービスを施し、支払いを済ませればそれで済むかもしれないが、システムエンジニアの仕事はそれほど単純ではない。システムエンジニアの仕事は、要件定義、見積り、企画、設計、開発、運用、移行、保守、品質確保など、ちょっと挙げるだけでも多岐にわたる。また、一つひとつの業務に高い専門性が要求され、一人で全てをこなすことなど不可能だ。

また、ここは私の予想だが、マッサージ店とIT企業では仕事のストレス強度にも差があると思う。マッサージ師の仕事は、朝から晩まで店舗に必要な業務をこなせばそれで全力を出し切ったことになるだろう。彼らは肉体労働だから、店が閉店になる頃にはヘトヘトになっているはずだ。しかし、私たちシステムエンジニアは違う。私たちは頭脳労働ゆえに、身体は疲れないが、精神的に重いプレッシャーを要求される。納期、品質、コスト、課題、批判、新技術など、絶えず質の高い仕事を求められる。システムエンジニアには一人ひとりに非常に大きなプッシャーがのしかかり、私たちは慣れたことだけやっていればよいという甘い環境ではない。

私は一般的に、大きな組織ほど優秀な人が多いと感じている。小さな会社に勤めている友人からは、自分の仕事に満足している雰囲気を感じることがあるが、優秀な学生ばかりを集めているような大企業では、周囲より抜きん出て良い仕事をすることは難しい。これは、システムエンジニアに限った話ではない。

こう書いてみると、自分を認めてもらうということには、あまり意味がないのかもしれないとも思う。小さな組織で井の中の蛙になってもいけないし、大きな組織で自分の力を過小評価してもいけない。大切なのは、自分の置かれた環境を認識し、常に自分を成長させていくことだけだ。


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