2015年10月12日

自律神経調整薬の効果と副作用

仮面うつ病自律神経失調症は、症状が非常に似ているらしい。けれども、治療法は全く異なるという。というより、仮面うつ病と自律神経失調症の症状はほぼ同じなので、心療内科の医師でさえも判断するのが難しい。しかし、そのような場合、医師はどのように治療法の選択を行うのだろうか。

基本的には、仮面うつ病には抗うつ薬抗不安薬が投与されるのに対し、自律神経失調症には自律神経調整薬が投与される。ただ、患者にとって疑問なのは、この2つの薬物の選択を間違えた場合、治療に際してどのような問題があるのかということである。

そもそも、抗うつ薬や抗不安薬がどのような働きをするのかは周知の事実だが、自律神経調整薬となると、一体どのような働きをする薬物なのかが明確でない。そこで、下記の通り、抗うつ薬や抗不安薬と比べて自律神経調整薬がどういった効果を持つのか調べてみた。

【抗うつ薬】
抑うつ気分やパニック障害などの気分障害に処方される薬
(商品例) ジェイゾロフト、パキシル、リフレックスなど。

【抗不安薬】
不安を抑えるために処方される薬
(商品例) リボトリール、メイラックス、デパス、ワイパックスなど。

【自律神経調整薬】
頭痛や肩こり、全身倦怠感などの心身症を抑えるために処方される薬
(商品例) ジヒデルゴット、ハイゼット、グランダキシンなど。

上記の通り、どうやら自律神経調整薬というのは、自律神経失調症によって現れた症状に対して個別に対処するための薬物のようだ。つまり、自律神経調整薬は、向精神薬というよりは内科薬に近い。精神症状ではなく、身体症状に強く作用するからである。例えば、ジヒデルゴットは頭痛や低血圧などに効き、ハイゼットは腸の調子を整えるといったように、特定の身体症状に作用する。

とはいえ、自律神経調整薬も自律神経の中枢部分に作用する薬である。自律神経調節薬は交感神経副交感神経のバランスを調整する薬であるため、脳に作用して効果を発揮する。そのため、もしかしたら向精神薬と同じく自律神経調整薬を敬遠する人もいるかもしれない。しかし、自律神経調整薬は抗うつ薬や抗不安薬に比べると副作用が少ないとのことである。既に精神症状が前面に出ている人にとっては、自律神経調整薬はあまり良い選択肢にならないが、副作用を回避するという意味では、向精神薬ではなく、自律神経調整薬を選ぶのはありかもしれない。

私は、医師が、患者に出ている症状が仮面うつ病と自律神経失調症のどちらなのか区別がつかない場合、どのような判断をするのか調べてみた。しかし、どうも心療内科の医師にとっても両者を明確に区別する方法はなさそうである。たぶん、よくあるのは、いろいろな薬を使ってみて、患者に合ったものを継続するというやり方だろう。向精神薬の選択をする際にやる方法と同じである。

実際のところ、その患者が仮面うつ病と自律神経失調症のどちらなのかは医師にとってもどうでもよくて、医学的に定義が分かれているだけに過ぎないのではないだろうか。確かに、どちらも同じような原因で発症する病気であることに違いないし、患者からすれば、症状が同じなのだから似たようなものだ。

(参考)
どっちなの?仮面うつ病と自律神経失調症の違いと見分け方
自律神経調節薬の特徴・副作用など
自律神経調整剤の検索結果 - くすり・薬検索 - goo辞書


応援よろしくお願いします。






ラベル:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| 薬物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月09日

人格の荒廃と知的障害

精神医学のことを調べていると、時々、「人格が荒廃している」という表現が見られることがある。先日、kyupin先生「経過中、突如、うつになるのは脳が生きている証拠」という記事を読んでいて、抑うつにならないのは脳が死んでいる人だということが理解できた。しかし、その直後に、それはどういう人のことを指すのだろうかと疑問に思ったのも事実である。おそらく、kyupin先生は、脳が死んでいる人のことを、“荒廃している人”だと言っているのだろう。しかし、私には「荒廃」という言葉の意味があまり具体的にイメージできなかったのである。

普通の国語辞典を調べてみても、「荒廃」は「荒れ果てること」としか意味が書かれていない。しばらくいろいろと調べてみて、唯一、「人格の荒廃とは、最低限のこと(身の回りのことをする、他人と会話する)などもせず、人間らしい豊かな感情もなくなったような状態である」との記述を見つけることができた。どうやら、「荒廃」とは、ある人が人間から動物に退化したような状態を指すらしい。

kyupin先生は、人格の荒廃を、病棟内で他の患者さんの衣類に自分の名前をマジックで書きまくるとか、保護室に入れているとトイレの汚い水で顔を洗ったり、飲んだりするなどといった行動を具体例に挙げて説明しているが、同時にこのような状態を「破綻している」とか「崩れている」とも表現している。ここまで言われれば、私たちは何とかそのような人の状態がイメージできそうである。

確か、Wikipedia「知的障害」のページには、その人のIQによってどの程度の知的障害があるかが区分けして明記されていた。これについては過去の記事「知能指数(IQ)と記憶力・健忘症」でも取り上げたことがある。

【知的障害とIQの範囲】
<ボーダー(境界域):70〜85>
知的障害者とは認定されない。
<軽度:50〜69>
食事や衣服の着脱をする、排せつなどの日常的な動作には支障がない。しかし、言語の発達がゆっくりで、18歳以上でも小学校5〜6年生の学力にとどまることが多い。
<中度:35〜49>
言語の発達や運動能力の遅れが目立つ。 身の回りの始末は部分的にできるが、全てをこなすことは困難である。日常会話や集団行動は、成長とともにある程度は可能になり、仕事では単純作業であればこなすことができる。
<重度:20〜34>
言語・運動機能の発達が遅く、学習面ではひらがなの読み書き程度に留まる。日常会話は年齢と共に可能になるが、簡単な受け答えしかできない。
<最重度:19以下>
言葉が発達することはなく、叫び声を出す程度にとどまることがほとんどである。身の回りの処理は全くできず、寝たきりの場合も多いほか、親を区別して認識することすら難しい。

私は、知的障害者に感情がないとは言わないが、「荒廃している」と言う場合、おそらく外見的にはかなり動物に近い状態ではないかと推測する。事実、統合失調症が疑われる患者に心理検査を実施した場合、かなり酷い結果が出ることもまれではないらしい。私は一般人なので、そのような常軌を逸した人々に会ったことはないが、もし会ったとしたら、あまりの異常さにカルチャーショックを起こしてしまうかもしれない。

今日は文章の上手い締め方が思いつかないので、まとめの代わりに、kyupin先生が記事「統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点」の中で書いていた文章を引用しておく。

------------------------------
器質性荒廃の人は頭髪の量が多く、しかも伸びも早い(子供の頃から、散髪屋や美容院で指摘されていたりする)。ひょっとしたら、薬物の忍容性の低さと関係があり、未知の内因性発毛因子に敏感なこともあるのかもしれない。
------------------------------

このように書く点からも、kyupin先生が人間の脳そのものに興味を持ち、人体の神秘を解き明かそうとしていることわかる。もし私だったらきっと、「この人毛深いな」くらいにしか思わないだろう。

(Wikipedia)
知的障害
(参考)
経過中、突如、うつになるのは脳が生きている証拠
統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点
器質性荒廃


応援よろしくお願いします。




ラベル:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| 精神疾患 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月06日

言葉の意味の理解の仕方

なぜこんな話になったか忘れたが、先日友人と話していたところ、「『高級品』という言葉の対義語は何か?」という会話になった。読者の方には少し考えてみてほしいと思う。あなたは「高級品」という言葉の対義語をすぐ思いつくだろうか。

すぐに思いつくのは「低級品」「低俗品」などの“高さが低い”という意味を成す言葉である。しかし、おそらくこの言葉は日常会話ではあまり使われないだろう。私たちは、この会話が面白かったので、次のようにいくつかの候補を出してみた。

【「高級品」の対義語となり得る言葉】
低級品、低俗品、粗悪品、普及品、一般品、低価格品…

まず、少なくとも「高級」という言葉の対義語は明らかに「低級」である。しかし、「高級品」という言葉の対義語は、「低級品」にはならない。なぜなら、お店の従業員は、価格の安い商品を「こちらは低級品です。」とは案内できないからである。もし、お店の従業員がそのようにお客様に案内すれば、「この品を買う人は下等だ」という意味を暗に伝えることとなる。

私たちは最終的に、「高級品」という言葉の対義語は日本語には存在しないという結論に至った。欲を言えば、高級品という言葉は“価値がある”、“価格が高い”ということを意味するので、「廉価品」「大量生産品」が対義語としては適当だと思う。また、文脈的には「高級品」という言葉は、品質が高いことを意味する場合もあるので、場合によっては「粗悪品」や単に「安物」という方が対義語として適当かもしれない。

言葉というのは不思議なもので、誰かが意図的に作ったにも関わらず、類義語や対義語といったバランスが正しく取れていないのである。

ところで、つい最近見たTV番組の中で、「『貯金』と『預金』の違いは?」という質問を見かけた。その番組によると、貯金はお金をゆうちょ銀行(郵便局)に預けることで、預金はその他の金融機関に預けることだという。それは確かに正しい。しかし、もしそんなことを自慢げに説明する国語の教師がいたら、私はそれもどうかと思う。

より正確に「貯金」「預金」の違いを説明すると次のようになる。貯金は、ゆうちょ銀行やその他のあらゆる金融機関を含め、お金を“貯蓄する”ことを意味する。ここで「貯蓄」という単語に同じ「貯」という漢字が使われているのは偶然ではない。また、預金は、お金を金融機関に預ける時の“行動”そのものを意味する。「預金」「払戻」の単語がしばしばセットで使われるのはそのためである。

このように私は、言葉は定義を知ることも大切だが、実際に使用されている場面や、その言葉に含まれるニュアンスも考慮して包括的に使い分けることが重要だと思う。言葉の定義を知るのは簡単だが、意味を理解するのは容易ではないのである。

(参考)
文章中の単語・表現・記号について
文章のリズムと単語選び


応援よろしくお願いします。




ラベル:記事一覧
posted by 良源 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。